美鳩セオリ
@seori-m
- 2025年3月9日罪と罰 上ドストエフスキー,工藤精一郎かつて読んだ『罪と罰』の日本最初の和訳は内田魯庵って人で、英語版からの重訳だった。英語版のタイトルは『Crime and Punishment』、ロシア語原典は『Преступление и наказание』。どちらも「罪」というよりは「犯行」「犯罪」の意味が強い。 魯庵はそれを意図的なのか、直感的なのかは分からないけど、あえて「罪」と訳した。日本語だと漢字一文字ずつになるのて、視覚デザイン的なインパクトも狙ったのだと思う。 ただし、「犯行」「犯罪」ではなく、「罪」と聞くと、私たち日本人は法律違反以上のもっと大きな概念を思い浮かべてしまう。 私は最初に読んだとき、当たり前のように罪の意識を持ったラスコーリニコフが、ソーニャとの出会いなどを通じていかに社会的な罰を受け入れていくか?という話だと思っていた。 しかし、そうではない読み方があった。 ラスコーリニコフがあらゆる心理的、社会的あるいは信仰的な罰を体感することによって、いかに罪の意識を獲得していくのか?を描いているのかもしれない、ってこと。 そして、実はこの作品は最後まで、ラスコーリニコフが罪の意識に目覚めたのかどうか?は描かれていない。
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