黄昏の岸 暁の天(そら)〈上〉―十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)

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- こまち@komachi03192025年8月7日読み終わった再読中8/3再読。 『魔性の子』の裏側のストーリーで、さらにこれまでの様々な話が集約される『黄昏の岸 暁の天』。初読時は蓬山であんなにイケ散らかしていた驍宗様のその後の苦難と、同じく蓬山では優しいお姉さんといった風情の李斎が慶を滅ぼしてでも戴を救いたいとまで追い詰められた様子に圧倒されてしまったけど、その後の白銀4巻を読んだ後改めて読むと、また新しい発見がありました。 十二国記は一貫して「人間は誰しも愚かで弱い面もある」「純粋に善のみの人はいない」が根底にあるのですが、『黄昏の岸』の李斎の心の動き、特に下巻ラストで戴に帰ることを躊躇うシーンは人間として自然でありそうで、強い女性の弱さをきっちり描いていて素晴らしいと思いました(このシーンがあるから白銀での李斎が光る気がします)。 あろ、上巻ラストで景麒が陽子の後を追い、二人で話すシーン。『風の万里〜』で陽子がいたらないことの筆頭は麒麟を信じたりないことではないかと反省していたからこそ、陽子が景麒に意見を聞いて主従が率直に話し合う場面がとても印象的でした。戴ではまさにそこを突かれてしまったことの対比でもありますしね。
- こまち@komachi03192025年4月7日4/6読了。 予想通り『魔性の子』の裏側のお話でした。泰麒と戴国の話。いや、それだけじゃなくて過去のエピソードも色々踏まえて話が進むんだけど、なんともリアルで重い。 まず、泰麒に何が起きて蓬莱に帰ることになったのか。そして李斎が満身創痍で慶に来て、心の奥底では慶を滅ぼしても戴国を救いたいと思っているのが刺さります。『風の海〜』の李斎とは別人のようで。人は追い詰められると陽子の言葉で言う「浅ましく生きる」状態になるということを嫌というほど示して読んでいて重い。 あと、戴国の波乱がリアルでした。あんなに幸先良いスタートでも謀反が起こる、その道筋が非常にリアルで。あれを読んだら慶だって色々あって当たり前だし、まさに玉座は血で贖うもの。 そして、『冬栄』の裏側であんなことがあったとは。あのお話、漣国の主従とのほのぼのしたやり取りが好きだったので、余計にああーという気分です。 延王が心配して慶に来たのもそれだけ対応が難しい話で。多分言っていることは延王の方が正しいんだろうとは思うけど。最後、走り去った陽子を追いかけてきた景麒との会話が救いですね。なんというか、真面目で良い方向に向かいそうな慶主従に救われました。 と、ここまでは感想ですが。実は最初に思ったのは、なぜあの水禺刀で泰麒や泰王の居場所を見ないのかわからないでした。二人に会ったことがないから?と思ったけど、『月の影〜』で塙王を見ることができたのだからいけそうな気がするのに。もしかして下巻で水禺刀が活躍するんでしょうか?