黄昏の岸 暁の天(そら)〈上〉―十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)

2件の記録
- こまち@komachi03192025年4月7日4/6読了。 予想通り『魔性の子』の裏側のお話でした。泰麒と戴国の話。いや、それだけじゃなくて過去のエピソードも色々踏まえて話が進むんだけど、なんともリアルで重い。 まず、泰麒に何が起きて蓬莱に帰ることになったのか。そして李斎が満身創痍で慶に来て、心の奥底では慶を滅ぼしても戴国を救いたいと思っているのが刺さります。『風の海〜』の李斎とは別人のようで。人は追い詰められると陽子の言葉で言う「浅ましく生きる」状態になるということを嫌というほど示して読んでいて重い。 あと、戴国の波乱がリアルでした。あんなに幸先良いスタートでも謀反が起こる、その道筋が非常にリアルで。あれを読んだら慶だって色々あって当たり前だし、まさに玉座は血で贖うもの。 そして、『冬栄』の裏側であんなことがあったとは。あのお話、漣国の主従とのほのぼのしたやり取りが好きだったので、余計にああーという気分です。 延王が心配して慶に来たのもそれだけ対応が難しい話で。多分言っていることは延王の方が正しいんだろうとは思うけど。最後、走り去った陽子を追いかけてきた景麒との会話が救いですね。なんというか、真面目で良い方向に向かいそうな慶主従に救われました。 と、ここまでは感想ですが。実は最初に思ったのは、なぜあの水禺刀で泰麒や泰王の居場所を見ないのかわからないでした。二人に会ったことがないから?と思ったけど、『月の影〜』で塙王を見ることができたのだからいけそうな気がするのに。もしかして下巻で水禺刀が活躍するんでしょうか?