笙野頼子三冠小説集

6件の記録
スターガール@yesor_yes2025年10月13日読み終わった「どういうわけだか収入にもならないのに忙しいのだった。忙しいといっても、考えるのに忙しくひとりでいるのに、忙しいのだった。ワープロを打っている時はそれが金になろうがなるまいが目は吊り上がっており、キーを叩いていない時は半病人であるか、怯えた独言散歩者にしかなれなかった。頭の中は文章の世界でばらばらになり、不注意から電話を蹴飛ばし食器を払い落し、出来上がりそうになると恐怖とプレッシャーで一晩中震えて、昼は絶えず腰が痛むので横にもなる。ナニカシテイル状態ならそこまでひどくはならないのかもしれなかったが、私は花やヌイグルミで恐怖心を押さえ、耐え切れなくなるとライブハウスに行っていた。だがそんなふうにヌイグルミに囲まれて散歩もする私は、自分でもみじめなのか余裕あり気なのか判らないのだった。」



