チボー家の人々(2)

チボー家の人々(2)
チボー家の人々(2)
ロジェ・マルタン・デュ・ガール
山内義雄
白水社
1984年3月1日
2件の記録
  • miporingo
    miporingo
    @miporingo
    2025年2月20日
    兄アントワーヌがジャックを少年園という感化院から救い出して一緒に暮らし始めるいきさつを主に描いた第二巻。可哀そうなジャック、傷ついたジャック。アントワーヌはもちろん善意の人なのだけれど、作者マルタン・デュ・ガールはこの優しい兄の中にある優越感や正義感に陶酔するところを描いてるのけっこう意地悪だけどそういうところがとても面白く、この作品に深みを出している。いまのところいちばん思慮深く描かれていると思われるフォンタナン夫人に対してさえ容赦がない。浮気な夫との離婚をグレゴリー牧師に考え直すよう説得されたときに「牧師様が許せとおっしゃるのなら許します」という夫人の言葉に牧師は心の中で「それでは許しの意味を成さない」と蔑むのですよ。もっともらしく発せられた言葉だし、ふつうに流してしまいそうだし、なんなら「夫人、よく許した」と褒めてしまいそうになるところだけれど、誰かに言われたからじゃあ許しますと言ってほんとうに許したことになるか、許しとはそもそもどういうことなんだろうと、立ち止まって考えさせられる箇所だった。 ジャックとアントワーヌがフォンタナン家を訪れた際のジャックとジェンニー、ダニエルとニコル、アントワーヌとフォンタナン夫人とのあいだのやりとりも読みごたえあり。 リスベットという女の子も登場し、チボー兄弟と関係していく。 生粋の聖人も根っからの悪人も出てこなくて、どの人もみなそれぞれに事情があり感情の起伏があり人間くさい。 ほんとおもしろいな。
  • ナフリ
    ナフリ
    @harnafri
    2025年1月17日
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