ベージュ(新潮文庫)

3件の記録
犬の耳@dogyear2026年5月24日読み始めた「まるで怠惰な川のように僕は静かな雨を降るにまかせている。ある時は暖く、ある時は濁って、たまに凍り長い間……。開拓者達が駈け去ってしまうと焚火が残る……。その火に映え、その煙にむせ、その灰に僕は涙を流す。(香しい午前)」 川で嗅ぐ焚火の香を知っていることの意味がここに。AIがどんなに発達しても、私たちには体験しないとわかり得ないことがある。谷川俊太郎は散文も美しい。

犬の耳@dogyear2026年5月24日読み終わった俊太郎さんが言葉から自由になろうとしていたことは生前のインタビューでも度々読んだように思う。その哲学が詩になると、こういう風になるのかという印象を受けた。 社会のことにはあまり関心がない、というのもやはり見かけた記憶があるが、はっきりと表明しないまでも、確かにプロテストの詩であるのがわかる。新聞というジャーナリズムへの疑念、原子力への抵抗。 それでもあの瑞々しさは『二十億光年の孤独』から喜寿を迎えてもなお失われていないのだから、やはり詩人として偉大すぎる。この人が生きていた時代を知っていることは、私たちの誇りと言ってもいいだろう。
