浮浪児1945-―戦争が生んだ子供たち―(新潮文庫)

6件の記録
amy@note_15812025年3月12日かつて読んだ感想朝ドラ「虎に翼」でちょうど浮浪児が出てくるターンがあり、その存在は知っていたけれどもその実態は何もわからないなと思っていたので読んでみた。 正直、ドラマで描かれていた浮浪児たちの描写はまだまだ幸運な子たちで(もちろん朝ドラの枠というところでかなり狭い範囲で表現する必要があったと思う)、その実態はもっと陰惨で悲劇なんて言葉で表せないほど苛酷だった。 この本は実際に浮浪児であった人たちや浮浪児を保護した施設の人たちに話を聞きながら5年がかりでまとめられた本である。浮浪児のなかには自殺した子も多かったという。 この本も自殺を図った子の遺書からはじまる。その痛切で思わず一度目を伏せたくなるようなそんな思いが遺書に残されているがこんな子が何人もいたのだと思うと、悲しいとか苦しいとかそんな感情を通り越して今自分が何を感じているのかもわからなくなってしまった。 生きるために野犬を殺して食べる、ゴミを漁る、死んだ友の死体から衣服を脱がせてそれを売る。そして最も驚いたのはこうした浮浪児について、社会や大人は戦時中はまだ優しかったが敗戦国になった瞬間に態度ががらりと変わり、とても冷淡になったことも実際浮浪児であった人の証言で残されている。そして浮浪児だからといって行く先々で差別され、終生配偶者にも打ち明けられなかったという人もいた。 大人が勝手に始めた戦争で社会の厄介者(浮浪児たちからすればもっとひどい扱いをされた)とされ蔑まれた子どもたちがこんなにも存在したこと、その環境のあまりのつらさに数ページ読むごとに手が止まってしまい、2週間ほどかかった。それぐらい重く目を背けたい内容だった。 しかしながら社会で庇護されるべき子どもが親も家も何もかも失くしたのに浄化作戦といって唯一の居場所である上野を追われたこと、保護されたとしても施設での環境も非常に悪く、施設で自殺をした子もいたという。 当時社会や大人たちが子どもたちにした仕打ちはもっと知られるべきだし知っておかないといけないと思う。 いまでいうとトー横キッズが近いだろうか。本来は保護やケアが必要な子どもたちを大人が”取り締まり”、”補導”する。 1945年と2024年と子どもたちに対する温度はどれぐらい変わっただろうか



