八日目の蝉 (中公文庫)

5件の記録
- haku@itllme2024年8月22日かつて読んだ初めて角田光代さんの本を手に取った。 何故かわからないけどこのタイトルに惹かれて。 読み始めてからすぐにおかしいと思っていた希和子の行動に自分が少し感情移入しているのがわかった。 彼女とともに薫を抱き抱えて走ってる感覚。 犯罪のはずなのに自分の両手の中にいる子どもへの愛には勝てるわけないと希和子を擁護したくなる気持ちが隠せないくらい自分の中にあった。 第1章はあっという間に読み終わった。 それから薫の話が始まる。 驚きだったのが彼女も岸田という男に希和子と同じような関係性を持たされていたこと。 エンジェルホームに千草と出向き、覚えてないと思っていた記憶が蘇ってきたとき。 憎んでいたはずの希和子のことを自分が母親と思い、愛して愛されていたことが大人になった恵里菜に伝わっていたとわかる彼女の文面は第1章をもう一度読み返したくなるような気持ちになった。 最後に希和子が薫らしき人と小豆島へいく船を見ながら過去を思い出す。 "遠ざかれば遠ざかるほど、色鮮やかになる。人の記憶とは、なんと残酷なんだろう" 遠ざかりすぎた希和子と薫は いろんな憎しみを超えて 自分が持っている色鮮やかな、幸せな記憶を抱えたまま生きていくのだと思う。 そんな姿がどうしてもこれからの、今の自分自身に重ねずにはいられなかった。 他の作品も読んでみたい。