太宰治全集(10)

2件の記録
- はる@tsukiyo_04292025年6月24日読み終わった@ 三鷹駅『海』 短い随筆だが、とても味わい深い文章だった。 毎日のように爆弾が落ちる日々の中、自分の娘のことを考える太宰。 もしこの子の頭上に爆弾が落ちたら、この子は海というものを一度も見ずに死んでしまうのだ、と思い、せめて海を見せてやりたいと願う気持ちは、親の愛を感じるものだった。 しかし疎開先の津軽に向かう電車で海を見た娘は「川だわねえ、お母さん」と平気でいる。 娘に海を見せてやりたい一心で騒いでいる太宰の姿が愛おしく、なんとも可愛らしい話だった。