久生十蘭短篇選
12件の記録
ゆらゆら@yuurayurari2026年8月13日読み終わった戦後に発表された様々な作風の15篇。中でも、田辺いちかさんの講談で知って十蘭に興味を持つきっかけになった「黄泉から」や戦争の残したトラウマが不気味に滲み出してくる圧巻の「蝶の絵」などあまり触れることの少ない戦後日本の雰囲気が感じられてすごく良かった。 他にも、パリを舞台にスタンダールのような暗い犯罪の匂いのする心理小説「黒い手帳」、日本の中世に材を取った残酷な話「無月物語」(巻末の川崎賢子さんの詳しい解説で理解が深まる)、珍しく前向きなラストが清々しい「復活祭」、闘鶏の場面が印象的な「春の山」など等…本当に面白い短篇集だった。
楡@etemotust2026年5月20日読み終わったアンソロジーで『黄泉から』を読み、魅せられて『魔都』を読んだ後にこちらに。読後にパラパラと再度拾い読みしていると、妙なる…と唸りたくなる幸福感がある。 再度読んだ『黄泉から』の美しさにため息。それに並んで、私は『鶴鍋』が好き。 知識が浅いので解説を読むと、なるほどそういう…と理解が深まる。時間をおいて読み返したい。

RIYO BOOKS@riyo_books2023年11月11日読み終わった十蘭は死ぬまで、ある一筋のことをかたくなに守り通したその態度は、一種壮烈な趣きがあって、文壇的には当然孤立した地位にいたが、その生前から一群の、非常に特殊な読者層を作り出している。それは、ホームズの信徒のシャーロキアンに倣っていえば、ジュラニアンとでもいうべき人たちで、この人々の誇りと訝しみは、こんなにも豊醇な美酒が、ただ自分らだけのために用意されていいものだろうかという点にあった。 ──中井英夫『久生十蘭論』








