かなしき女王: ケルト幻想作品集 (ちくま文庫 ま 16-2)

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- りなっこ@rinakko2025年3月17日読み終わった再読。素晴らしかった。ケルトの神話や伝承に根差した創作であり、変奏でもある。遠からず滅びゆく小昏いケルトの世界、その美と不思議と神秘の輝きを惜しみ、幻となる民への深い哀憐と愛着の眼差しが注がれている。 伝説の男女は眩いほどの美貌に生まれつき、狂気の如き恋情に捕らわれて全てを焼き滅ぼさんとする。キリストを讃えながらも異教の夢から醒めることもなく、彼らの矛盾の瑕は時に儚く時に禍々しく美しい。 とりわけ好きなのは表題作(恐ろしき“かなしき女王”)や「精」、「約束」、「琴」、戯曲「ウスナの家」。