「色」と「愛」の比較文化史

「色」と「愛」の比較文化史
「色」と「愛」の比較文化史
佐伯順子
岩波書店
2010年12月10日
3件の記録
  • ほしなみ
    ほしなみ
    @hoshinami629
    2025年11月19日
    日本近代文学のテキストから、近代において(男女の)性愛の呼称や概念が「色」から「愛」へと移り変わる様子とその実態を追いかけた本。タイトルから想像される内容と、実際の内容に違いがあるかもしれない(佐伯順子氏、他の著作を見てもどうもタイトルを付けるのが下手な気がする……)。 内容的には非常に面白い本で、色々と勉強になった。 個人的には泉鏡花を取り上げた第六章と、明治期の女性作家を取り上げた第八章が特に面白く感じた。第八章では私の全く知らなかった明治期の女性作家が次々と出てきて、これだけ興味深い作品を書いていた人の名が何故こんなにも知られていないのだろう……そうか、男性がこの人達を評価しなかったからか……というような気付きもあった。森志げ(森鷗外の妻)の小説なんて驚きづくめである。 そしてそんな多くの明治期の女性作家の中でも、樋口一葉が取り分けて素晴らしい理由も良く分かった。樋口一葉を読んでみたくなる。 それにしても、明治期の男性達の「色」と「愛」を巡るもがきは、当人達は真剣だったのかもしれないが、現代の女性である私から見ると非常に滑稽に感じられる。 男性をあしらうことを職業としていない、いわゆる素人女性に対峙すると、どのように接して良いか分からなくなる、自分の中の女性蔑視と好意との折り合いがつけられない、いきなり性行為に及ぶか逃げるかの二択になる……などという笑える(笑えない)話は、現代日本社会の男性が克服しきっているとも言えない面がある。 男性と女性が関わりながら社会を築いていく、というモデルの日本における歴史の浅さを感じたりもした。
  • 鷹緒
    鷹緒
    @takao_tanka
    2025年3月19日
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