緑の庭で寝ころんで
6件の記録
kasu.@11uyksm2026年1月20日読み終わった借りてきた単行本今作も宮下さんの描くエッセイは綺麗で繊細で共感性の高いものだった。 子供達のこと、自分自身のこと、誰かを思ってのこと。全て良かった。なんでこんなに惹かれるのかすらわからないまま、また宮下さんのエッセイに手を出すだろうな。 〜ふるさと福井で、北海道の大自然の中で、のびやかに成長する三人の子どもたち。 その姿を作家として、母親として見つめ、あたたかく瑞々しい筆致で紡いだ「緑の庭の子どもたち」(月刊情報誌「fu」連載)4年分を完全収録。 ほかに、読書日記、自作解説ほか、宮下ワールドの原風景を味わえるエッセイ61編、 掌編小説や音楽劇原作など、単行本初収録の創作5編も収載。〜 🌌きらきらしない星 「きれい!」そう口にしたが、本当は気味が悪かった。見えるはずのないものを目にしてしまった気分だった。(省略)こんな星空は初めてだった。自分の尺度を大きく超えてしまうものには、美しいという概念さえ湧かないものだとつくづく知った。「すごいね」娘が興奮した様子で言った。(P.13~14) ・この星空の表現は「羊と鋼の森」にも出てくるので、北海道の山奥で生活した経験が表現力の元になっているんだなと改めて感じた。星空は見えすぎると本当に不気味。怖いとさえ感じる程。そして、娘さんのまさかな一言に吹き出した。 💭忘れる 「忘れたくて忘れる人はいないんだから。アイロンありがとう」(P.42) ・息子さんのズボンを洗濯したまま干し忘れていた宮下さん。アイロンでなんとか乾かそうとしたけれど、まだ湿っぽさが残っていた。それなのに息子さんは「ありがとう」と伝えた。『…嘘でしょ?』が素直な感想。次男さんだから多分、中学生のはず。大人でもこんな対応してくれる人、滅多にいないんじゃない?大人より大人。素敵な息子さんにほっこりさせられ、忘れっぽい宮下ママに共感。(私も忘れっぽい) 🏫受験生? 「宮下さん、前はずいぶん心配してたよね。上のお兄ちゃんが小一のとき、校庭の金網のところから体育の授業をこっそり見てたよね。」(省略) 超マイペースの息子に集団生活ができるのかと心配で居ても立ってもいられず校庭まで走ってしまったことがあったのだ。(省略)その後、少しずつ力が抜けて楽観的になれたのは、心配しなくなったというより、子どもたちの力を信じられるようになったからだと思う。(P.56~57) ・私も時々思う。娘が小学校へ通うときにはしっかり自分の足で歩いて登下校できるのかなとか、危険な場所・行動を咄嗟に判断できるのかなとか。考え出したらキリがないけど、子供って親の目のないところでしっかり育ってるんだろうなと思わせてくれるお話。宮下さんのこのエピソードは意外だったけど、そうしたくなった気持ちもよく理解できた。 🐿️秋の森のリス(P.95~97) ・森のリスについてと、本好きあるあると、息子さんのリスっぽさ溢れる読書スタイルについて書かれているお話。全体を通してみてもこのお話が好きで、共感性の高さと息子さんのまさかな言動にクスリとさせられた。 🏠家事は誰のため 『自分の手でやれるはずのこともやらずに語る言葉は薄っぺらい。人生とは何か、人間とは何か、考えたってほんとうにはわからないだろう。』(P.126) ・身の回りのことを自分たちでこなせる宮下家の子供達。自分があまり手を掛けてやらないからだと、ときどき後ろめたい気持ちになるそう。同級生が親のミスを嘆いていたときに「自分で準備すればいいのに」と思える頼もしさ。宮下家のお子さん、みんなウチの旦那よりもずっと立派ですよと言いたくなった。 📕しあわせでなかったはずがない(P.165~166) ・小川洋子「琥珀のまたたき」 📕一本道ではないよろこび(P.168~169) ・山本ゆり「syunkon カフェ雑記 クリームシチュウはごはんに合うか否かなど」 ・三章は「本のことなど」というタイトル。本がテーマで、宮下さんが読んだ本の中からおすすめなどを紹介してくれている章。その中で読んでみたい2冊も増えて、作家さんの読了ポストを覗いているような感覚に新鮮さがあった。 🚗左オーライ(P.202~209) ・これまでのほのぼのエッセイとはかなり雰囲気の違うお話で印象的だった。人には思い出したくない過去や心の内に秘めておきたい感情があると思う。きっと宮下さんの中でこのお話を世に出すときに、すごく勇気が必要だったんじゃないかなと感じた。疎遠になってしまった友人の現在を気にかけて、『どこかでこの記事を目にしていてくれたら…』とも思ったのでは?なんて思えた。何より旦那さんの抱擁力には天晴れ。 🎹ピアノの中の羊(P.240~242) ・本屋大賞を受賞した「羊と鋼の森」に関するお話。宮下家のピアノの調律をしていた男性…主人公の外村が初めて出会った調律師(きっかけの人物)に何となく似ている様な気がして。『もしかして、モデルにしたのかな』なんて思いながら読んでいたら、終盤に衝撃の事実。鳥肌がたった。 ☕️第32回 おいしいコーヒーを(P.297~298) ・このお話を読んで気付く。『あ、私、宮下家の末っ子ちゃんのエピソードが大好きだ』と。2人の兄に見守られながら育っているであろう娘さん。少しおっちょこちょいで発言がチャーミング。宮下ママや兄たちからたくさんの愛を注がれながら育っているんだろうなぁと思わせるお話だった。 📚第38回 つい(P.310~312) ・みんなで一緒に本屋さんへ行くなんて羨ましい一家。それぞれの本を購入して帰宅しても母親は家事が気になって目の前の情熱に蓋をする。「つい」がストッパーになりすぎて本が読めない。これは世の中の母親に(限らず働く人全てにも当てはまる)凄く刺さるお話なんじゃないかなぁと。そして締めの一言に凄く共感。本当にやりたいことを後回しにせざるを得ない人、必見のお話。 🔥第47回 やればできるか(P.331~332) 「やればできるようになる」こんな根性論ばかりで嫌になる私には合っていたお話。人には向き・不向きがあるし、なんでもかんでもやればできる、努力すればできる、なんてもんでもない。その人のセンス次第でもあるだろうと思っている私の気持ちを見事に書き出してくれていた。共感と励まし。その両方をこのお話から感じ取れた。


