言葉はこうして生き残った

3件の記録
- みぎた@mj-bt2026年9月12日読み終わったこの本は、「『考える人』メールマガジン、『考える本棚』として、毎週木曜日、ほぼ交互の形で配信されてきた文章から、37回分を選び、再構成したもの」だという。 どうやら、かつて発行されていた雑誌「考える人」(新潮社)の編集長を務めた筆者が、「6年半あまり、300回を超えるメールマガジンをこつこつ書き続けることができた」ということらしいのだが、その中から抜粋された、編集長就任直後の2010年7月1日の配信分から、2016年4月14日の配信分までの計37編が、7つのテーマ別に分類され、順不同に再構成されている、といった体裁。 それらの文章は、本や作家、あるいはそれらの周辺にあるものごとやひとたちなどをめぐるものであったりするのだが、その語り口は落ち着いていて、どこかあたたかい。これがコラムというものだ、とでも言われようなら、そうなんだろう、と納得しうるもの。 されど、その奥底に、激しいまでの敬意をも感じる。 中でも特に、「第6章 言葉の受難を乗り越えて」と題された章における「『言葉の受難者』の終着駅」や「言葉に託された仕事」、また、「第7章 生命はこうしてつづきゆく」における「広島に歳はないんよ」や「翻訳という夢を生きて」、「類まれな師弟の物語」などに。 それはきっと、筆者が「あとがき」に書いているように、「言葉に関わる仕事の魅力を、一人でも多くの人に伝えたい「夢」や「期待」があった」からこそなのだろう。 それにしても。 昨年5月に着手して、読了したのは先日。 約1年4か月ほどかかってしまう。 決して読みにくい本ではない。むしろ読みやすい。 実際に読んでいたのは14日間。 本棚にその表紙や背表紙を見つければ、言葉に対する信頼を思い起こすことができる。 そのような本。 目次を頼りに探し読んでも、パッと開いたところを読んでも、どちらもよい、とおもう。 あと。 装幀が美しい。 カバーの、少しザラつきもあるがツヤがない白い用紙の上にスミ一色、なのだが、本のタイトル、著者名と、掲載されているそれぞれの文章の前に付けられている No. (これは、メールマガジンの配信番号、だという)の数字のみ、凸版で光沢があるインクで印刷されている(だからか?数字だけみてみると、微妙にインクの乗りによるのか、形に差異が認められるとおもう)。 あと、帯を外してみるとよくわかるが、表紙と裏表紙において、収録されている文章が全て、掲載順に記載されている。 また、カバーを外すと、茶色の用紙の上に銀色のインクでの印刷。 開いてみると、本文の文字組みもなんだかきれい。 丁寧に作られた本なのだろう、とおもうと(それがたとえ思い込みであるにせよ)、それはなんだか、うれしい。


