近代日本思想の肖像 (講談社学術文庫 2099)

2件の記録
よろこびイサンディ@yorocobi_isandy2026年7月5日読み終わったあとがきに記されているように、二十代の頃に書かれた文章も本作にはあるらしい。 多くの物書きに類似した傾向ではあるけれど、若かりし日に書かれた文章というのは、どうしてこうも読みにくく、人を寄せ付けぬ感じがするのだろう。 そういった寄せ付けぬ傾向のある作品も収録されているものの、文芸批評的なる文章を集めてきたという本作は、前半部までは楽しく読めた。 言わずと知れた社会学者であり、多くの読者を獲得している大澤氏であるからこそ、畑違いの分野についての文章であっても、15年以上の歳月を越しても絶版とならないのだと思う。 氏の文章は独特で、ともすればスノッブな感じさえ漂う。 氏が師事した見田宗介にも時勢に対する見解を、ただ集めただけの著作があったが、それと似たような読後感だった。 個人的に大澤氏の著作を何冊か読了しているけれど、やはり真骨頂は社会学的なる著作だと思う。 端役のようであり、また、骨の折れる本作より前に読むべき著作はありそうだ。
よろこびイサンディ@yorocobi_isandy2026年5月10日読んでる近頃もコンスタントに著作を発している、言わずと知れた社会学者である著者が、80年代後半からゼロ年代初頭にかけて、数多の雑誌に書いた文章を集めた一冊だ。 冒頭に記載があるように、社会学的、というより、文芸批評的なる文章を意図的に集めてきているようだ。 著者自身にも自覚があるとは思うけれど、文章が進み、論が展開するにつれ、深海へと潜水するかのように、いつの間にか話が脱線していく。 緩やかに潜り、読者に共有せんとする深海の景色は、その難解さ故によく分からない場合も多い。 「また、話が逸れてしまった」と言わんばかりの次段落冒頭の文言には、或いは潜水夫の息継ぎが感じられる。 この著者を読みたいと思うとき、著者自身ですら制御下に置けない、この「荒ぶる知性」とでも形容したくなる知性の躍動を拝みたいとの欲望を、僕自身の中に感じる。 おそらく書かずにはいられない、誤解を恐れずに言えば、病的な書き手の一人と個人的にカウントしている。 無論、彼のように書いてみたい気持ちは、僕にも内在している。 読了は来月にまたがるかもしれない。