「昭和」という国家

「昭和」という国家
「昭和」という国家
司馬遼太郎
NHK出版
1999年3月1日
3件の記録
  • NHKラジオ第1の「朗読」特集にて2025年8月に取り上げられた(全12章のうち1-2章 https://www.nhk.jp/p/rs/LRK2VXPK5X/episode/re/5GQZY3M6JP/ )。図書館でNHKブックスになる前の単行本を借りた。番組企画者のあとがきによると、教育テレビのETV8の時間に12回に分けて放送(1986-87年)されたものを司馬遼太郎没後に書籍化(1998年)。 あとがきによると3回分を一度に収録したとのことなので、読むのも1-3章で区切る。 司馬遼太郎の中には、清廉潔白な江戸以前と脱亜入欧な近代とが色濃く含められているようだ。その点に注意しながら読んでいく。 そして戦略なく無茶な戦争をした近代のことにも批判的。特にノモンハン事件の話にこだわる。ほぼ全滅(死傷率75%)になるまで戦いを終えなかった。日本側最高責任者の中将が「もうこれはどうしょうもない。しかしながら、日本の兵隊さんは強いと聞いているから、なんとかなるだろう」とつぶやいたと。その話で司馬は「リアリズムを失っている」と。同様に近代の軍人や政治家もリアリズムを失っていると語る。 また何とか負けずに済んだ日露戦争については、講和条約で「もっとカネを取れ」という群衆たちの側に立って軍部や政府は動くようになったと。政府も軍部もカネが取れるような戦況ではなかったと知っているにも関わらず。ポピュリズムですよねこれ。 戦前における秘密主義と民衆迎合とは、嘘つきにして都合良く曲解ばかりする現代の政治家やネトウヨたちととても似ていると感じる。 なお「坂の上の雲」について第3章にて 「これはちょっと余談になりますけれども、この作品はなるべく映画とかテレビとか、そういう視覚的なものに翻訳されたくない作品でもあります。  うかつに翻訳されると、ミリタリズムを鼓吹しているよつに誤解されたりする恐れがありますからね。  私自身が誤解されるのはいいのですが、その誤解が弊害をもたらすかもしれないと考え、非常に用心しながら書いたものです。」 とあるものの、この放送(1986-87年)の二十数年後(2009-11年)にNHKで年末に大河ドラマの代わりとして大々的に放送していたのはとても残念だと感じる。 https://www.nhk.jp/p/ts/X7PG14YX57/ 今回はここまで。
  • Blue moon
    Blue moon
    @mimosamimi
    2025年8月16日
  • 「戦争と今を考える22冊」
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved