がんばれ、おめでとう、ありがとう (幻冬舎文庫 あ 29-3)

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さくら🌸@lily_sakura_2026年6月10日読み終わったびっくりした。想像してた短編集と全然違った。 「頑張るあなたに届けたい、勝手に応援短編集」と帯にあったので、例えば友人だったり子どもだったり、アイドルだったりを応援する人達が主役の、爽やかな物語たちなんだろうなと思っていた。 物語の幕開け『森のような、大きな生き物』でまず、「誰かを応援すること」で元気を貰えることは確かだし、自分の心の支えにもなるし、自分も頑張ろうと思える、尊い行為であると同時に、他人の人生を消費する行為であることや、垣間見える暴力性、身勝手さをも暴いている。私たちは誰かを応援するとき、往々にしてその誰かに勝手に期待をして、そこから外れた言動を目にすると勝手に失望する。他人の人生を消費しているという自覚を持たなければいけない、と、突然切っ先を向けられた気分になった。これは想像と違って、面白い短編集だぞとそこで確信した。 『相談』では、こういう50代くらいの自己肯定感が無駄に高い男性いるなあ…と思いつつ、最後はその男性に「ああ…まあがんばれ」と言わずにはいられなかったし、好きな話だった。 『ニオイスミレ』は、少子化が進みに進み、なんとも奇妙でおぞましい制度ができた日本が舞台になっており、物語終盤にかけて不穏な結末が想像できて身震いした。 『地元裁判』も、とある片田舎の膨れ上がった歪んだ正義のような何かに、その裁判にかけられた人たちの未来を応援せずにはいられなかった。 一番好きな話は『お風呂、晩ごはん、なでしこ』。この話の主人公・フージコさんは周りからなめられている。けれど、それに特に焦りや怒りを感じているわけではなく、自分で自分の生活を少しでも豊かにすることを考え、なでしこJAPANの応援をしている。そんな彼女を勝手ながら応援してしまう話だった。 「わたしたちの応援のたままののような気もした。わたしたちの信じるきもちや期待や祈りが援護射撃になったのだ。」(p.11)


