空への助走 福蜂工業高校運動部

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ユメ@yume_bookworm2026年6月16日読み終わった感想やはり壁井ユカコさんは、スポーツがもたらす青春の光と影を書くのが抜群に上手いなと感じ入る。 『2.43 清陰高校男子バレー部』シリーズで、主人公たちと同県のライバルとして立ちはだかる福蜂工業高校。その福蜂の運動部に所属する者たちを主にクローズアップしたのが、この『空への助走』という短編集である。 『2.43』のファンである私としては、やはり男子バレー部が登場する「強者の同盟」「桜のエール」そして「三村統の不信頼」に心を奪われた。三村統というひとのカリスマ性を想う。チームメイトの高杉や、盟友・越智の弟である高臣が沈んでいたときに短い言葉で彼らを鼓舞するその姿に、思わず「格好いい」と口に出しそうになった。嫌味なく頂点に君臨する王者。高杉の「おまえと一緒にいる場所では、みんなかっこつけたいんや。一番かっけぇ自分として三村統のチームに属したい」という台詞がよく似合う。 その三村統と越智の絆の原点とも言えるエピソードまで読むことができて、胸が熱くなると同時に、今後『2.43』の代表決定戦編を読み返すのがますます苦しくなりそうだなと思う。壁井さんはいつも、ライバル校の選手たちまで余さず魅力的に描くから、どのチームにも勝ってほしいと願ってしまって、でもそれは絶対に叶わないのだ。本書を読んでいっそう募った福蜂への思い入れを抱いたまま、『2.43』を再読してユニチカに会いに行こう。きっとまた二人にも魅了され直して、清陰も福蜂も応援してしまう、苦しくも至福に満ちた読書時間をすごせるだろうから。




