失われた地図

3件の記録
サブレとポッポの往復書簡@snowflake2026年8月11日読み終わった感想@ 自宅恩田陸さんの作品の中で、私が初めて読んだSF作品です。いわゆる世間一般といわれる人々には見えないものを見ることが出来て、それらと渡り合える力を持つ風雅一族。この物語はそんな一族として生まれた遼平、鮎観、浩平を中心に、日本各地の其々な過去や因縁を持つ地を回り、『裂け目』と呼ばれる時空の裂け目、現世に起こる災厄の前兆を見つけ出し、そこから溢れ出す過去の怨念や成仏出来ない無念さと対峙し、裂け目を封印し直すことで、近い未来に起こりうる災厄を未然に防いでいくというお話です。 舞台となるのは、どこも過去に何かしらの争いのあった場所や戦争の火種となった曰くのある場所で、現世の人間の欲望に呼応して、過去の怨念が、かつての戦国足軽や幕末の彰義隊、昭和の日本兵の姿となって彼らに襲いかかります。彼らはそれらを一族に伝わる秘伝の封印術と現代の文明力を駆使して立ち向かうのですが、時として窮地にも陥る彼らを救うのもまた、悲しい歴史を持つその場にあった、平和を願う当時の人の思いが力や形になったものでした。 ここまでだと、SF風に事件解決を図るだけの短編集になるのですが、勿論それだけに終わりません。遼平と鮎観の関係性についても折に触れて語られていて、二人の幼少時代にあったある出来事、そしてこの生業に携わる以上、二人が手放さなくてはいけなくなる家族としての平和な時間、それでいながら、二人の子供である俊平が、二人の見えないところでいつも守ってくれていたこと、こうした人間ドラマも丁寧に両立させながら、こうした非現実の世界観を紡いでいるのは上手だなと思いました。 今回は、二回繰り返して読みましたが、それでもまだ、上野公園での『ダイジョウブ』と、六本木交差点での『ダイジョウブ』の繋がりがきちんと腑に落ちきらないことと、錦糸町辺で出てきた『件』が何者なのかが見えないのがもやもやしています。これは私の読解力がまだまだ追い付いていないからなのか、単にSFに読みなれていないのもあるのか、うーむ🤔

