赤と黒(下)

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- CandidE@araxia2025年7月12日読み終わっためちゃくちゃ面白かった!というか、文句なしの傑作。オールタイムベスト。 最後の最後まで精密な心理描写の洪水に流されっぱなしで、喜怒哀楽のジェットコースターは一度も停車することなく、最後の最後に辿り着くのは、ドストエフスキー文学への完璧な前夜祭であった。すんごい。心理的リアリズムの極致でもあり、社会派小説でもあり、メタ文学でもあり、歪な恋愛譚でもあるという、その多層的かつ摩擦熱たっぷりの欲張り仕様に圧倒された。伊達じゃなかった。 訳者あとがきに、 「非力を承知で『赤と黒』の翻訳を志したもう一つの理由は、この本は現代の日本で『再発見』されるべきだという直感的な思いである」 とあったけれども、僭越ながら激しく同意いたします。『再発見』されるべきです。 正直スタンダールの小説って、仄暗くて政治臭の強い長編だと勘違いして避けていたのだけれど、本質は全然違った。めっちゃ笑えるし、めっちゃ振り回される。しかも長時間、超高速で。これは読んだ方がいいと思う、ぜひ。 今、猛烈にドストエフスキーを読み返したくなった。そして、自分のなかでついに『失われた時を求めて』を読むフラグが立った。でもそれらはもうちょっと先のこと。ああ、『悪霊』が読みてー。『永遠の夫』が読みてー。『カラマーゾフの兄弟』が読みてー。『地下室の手記』が読みてー、僕は。僕は。僕は。