そんな言葉があることを忘れていた

そんな言葉があることを忘れていた
そんな言葉があることを忘れていた
せきしろ
左右社
2024年8月1日
4件の記録
  • 著者は構成作家としての肩書きに加え、又吉直樹との共著や自由律俳句をまとめた単著で知られる。 本書は自由律俳句をまとめたものであり、経年・孤影・叙景・過古の4部構成となっている。 自由律俳句の世界で著名な人物といえば、萩原井泉水・種田山頭火・尾崎放哉の三人が思い浮かぶ。短い言葉で心象風景を鮮やかに切り取る技巧に、スタイルの違いはあれどどれも魅力的だ。それはせきしろにも共通する。 ではこの3者とせきしろの決定的な違いは何か。それは詠み人と読む人の同時代性と言えるかもしれない。上記の3名が生きた時代は明治前期から昭和中期に当てはまる。最も長く生きた山頭火の没年が1940年であることを考えると、すでにかなりの時間が経過していることを実感する。 せきしろが本書を刊行したのは2024年。自由律俳句によって切り取られたモノやコトが読む人にとってより共感しやすいのではないだろうか。 一つだけ心に残った句を取り上げたい。 売り場のテレビ全てに故郷が映っている(211頁より) 故郷から離れて暮らす人が家電量販店のテレビ売り場で見つめているのはどんな風景だろうか。開花宣言・観測史上最高気温・記録的大雪などいろいろと想像が膨らむ。しかし一度でも震災や自然災害を経験したことがあるなら、この句から連想する景色は喜ばしいものではないだろう。 巻末の又吉直樹による力の入った解説も読み応えがあった。
    そんな言葉があることを忘れていた
  • Sakana
    Sakana
    @hannna---0405
    2025年4月10日
  • 葉
    @leaf_litter
    2025年3月17日
  • uedaharuki
    uedaharuki
    @uedaharuki
    2025年3月6日
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