桜ほうさら(上)

5件の記録
- ユメ@yumeticmode2025年1月28日読み終わった感想@ 自宅非業の死を遂げた父の汚名を雪ぐため、国許を出て江戸へやってきた古橋笙之介。市井に溶けこんで生活する彼の長屋での暮らしぶりや、江戸の風俗が活き活きと描き出される。義理と人情に厚い江戸の長屋生活を綴った時代小説を読むのが好きなため、本書に登場する深川・富勘長屋のこともいっぺんに気に入ってしまった。笙之介と同姓同名の人物を探していた奥州の武士・長堀金吾郎との交流ぶりもよい。金吾郎が繁盛しない鰻屋〈とね以〉の夫婦に心構えを説くくだりはしみじみした。