桜ほうさら(下)

3件の記録
- ユメ@yumeticmode2025年1月30日読み終わった感想@ 自宅父に汚名を着せた偽文書の作り手を探し続けていた笙之介は、遂に犯人、ひいては陰謀の真相に辿り着く。上巻でさり気なく描かれていた事柄の数々がちりばめられた伏線だったと明らかになり、その巧みさに舌を巻いた。父を陥れた張本人が兄・勝之介であったという事実にはとかくやるせなくなる。謎は綺麗に解決できても、人の心はそうはいかない。表題の由来となっている「ささらほうさら」という言葉が胸に沁みる。富勘長屋の住人たちの情の厚さや、和歌との瑞々しい恋模様によって、読後感は切なくも温かかった。