日本アパッチ族

3件の記録
- eye@ulala_2025年7月18日読み終わった@ 自宅いとうせいこうと奥泉光の「文芸漫談」が好きで、よく観に行っている。 毎回一冊の本をお題に、漫談のように語りあうトークショーで、小説の面白さと理解が深まって毎回楽しみにしてる。 今回の本は「日本アパッチ族」。 小松左京の作品は、映画では観たことがあるけど小説を読むのは初めてだった。 この作品も、タイトルは知ってるけど…くらいの、ほぼ何も知らない状態で読み始めた。 なので、まず、「な、何を読ませられてるんだ!?」と戸惑った。 舞台は終戦から何十年か経った日本、大阪。 ある男が、失業罪で鉄工所の跡地に追放に追放される。 そこで、鉄を主食とするアパッチ族と出会い…。 鉄を食べるってなんだよって思ったけど、調理方法が詳しく書いてあって、実は美味しいのでは…。という気持ちになっている。 でも、最初は食べやすい工夫をしている描写だったのに、物語が進むにつれて武器をムシャムシャ齧ってたりするので、進化のスピードが凄まじいのか、設定が適当なのか…。 適当と言えば、物語のそこかしこにちょっとしたギャグが入っていて、例えばアパッチ族が「ホウ」「アハウ」と挨拶しあう場面が出てくるけど、一回だけだったり(アパッチインディアンにかけたギャグだ思う)最後の方で出てくるコール・マン(石炭を食べて生きる人種)は、鼻下に美しい口髭を蓄えていたり(ロナルド・コールマンのことだと思う) 奥泉さん曰く「ちょっとすべってない?」ってことだったけど(確かに!)、そこの緩みもまた魅力なのかなと思った。 そのうち日本政府と対立を始めてドタバタな戦いになるわけだけど、その戦いの中ですら、どこかおかしみがあった。捕まっても手錠を食べちゃったり。 最終的な決着とかその後のこともしっかり描かれていて、最後まで面白い物語だった。 解説で知ったのだけど、日本アパッチ族をやなせたかし先生が漫画化してるらしい。これも読んでみたいな。