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@ulala_
- 2025年5月17日信仰村田沙耶香読み終わった短編それぞれが面白かったけど、1編目の「信仰」はのっけから強烈だった。 現実を突き詰めても、天動説を信じても、浄水器の勧誘も、ちょっと高いネイルや美容エステも、誰かにとっては真実だし、誰かにとってはカルトになる。その人がいる地点で見方が変わる曖昧なもの。正しいものなんてひとつもないんだ。 ひとつ言えるのは、行き過ぎるのは良くない。何かにどんなにハマっても、周りが少しは見える自分でいなきゃね。 ということをいちいち考えながら、自分を振り返りながら、読んだ。面白かった。
- 2025年5月9日噂の女奥田英朗読み終わった@ 自宅久しぶりに仕事関係の人とランチすることになった。 その日は珍しく土砂降りの雨。待ち合わせのお店は駅から10分ほど歩く場所で、時間きっかりに行ったら、満員で入れなかった。 約束した人は15分くらい遅れて来た。 なんだかいろいろとモヤモヤしたので、帰りに図書館に寄ることにした。 このぬるっとしたモヤモヤがすっきりするような何か…と探していたら奥田英朗が目についた。 そういえば昔好きでいくつか読んだな、と思い出して、読んだことのないこの本を借りることにした。 正直、すっきりどころかイライラが増してしまった。忘れていたけど、それが奥田英朗だ。 狭い田舎の街で、一人の女について、さまざまな登場人物が語ったり思ったりするのだけど、それがどれもこれも軽蔑や悪意や嫌悪に満ちている。 とはいえこの女も相当で、ここには描かれていない近い未来の姿が容易に想像できる、というかそれを想像させるための物語だった。 最初わたしはこの女の方に肩入れをして読み進めていた。それくらい、みんなの噂話がゲスいのだ。 「あ、この小説って、そういうことか」と気づいたのは最後から2〜3編目あたりで、それに気づいた途端、この小説を超えた時空で、それが起こった時の彼ら彼女らの行動・言動が簡単に頭の中でリアルに動き出す。 気分は晴れなかったし、むしろどんよりとした気持ちにはなったけど、よく取材ができた女性誌のゴシップ記事をくまなく読んだような、変な充実感だった。
- 2025年4月27日すみれの花の砂糖づけ江國香織読み終わった@ 自宅暮しの手帖web版で、カヒミカリィの連載が始まった。 その連載の中で、春には庭に咲いたすみれを摘んで砂糖漬けを作っているという記述があって、わたしの大好きなカヒミちゃんはいつまで経ってもぶれない!と嬉しく思ったのです。 あまりにも可愛くて衝撃だったので、私も作りたくなったのだけど、ウチはそもそもすみれが咲いてない。でも、すみれの花の砂糖漬けの気分が味わいたい!と調べていたらこの本を見つけたので読むことにしました。 私が望んでいたものとはちょっと違ったけど、これはこれで読んで良かったです。ニヒルで自己中で恋愛しかなくて感情が空っぽで、人生を諦めてて、どこか他の場所に行きたいのに何もできなくて…といった女の子の詩集。官能的な雰囲気が漂っていて、きっと20年前ならわたしは拒絶していただろうけど、今読むとなかなか良いなあ、などと思いました。江國香織の本、今なら読めるかも。試してみようかな。 あと、1編目の「だれのものでもなかったあたし」 > すみれの花の砂糖漬けをたべると > 私はたちまち少女になる > だれのものでもなかったあたし この詩と、カヒミちゃんが砂糖漬けを作る行為がリンクしてる感じがあって良かったです。
- 2025年4月27日すみれの花の砂糖づけ江國香織
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