八月の路上に捨てる

八月の路上に捨てる
八月の路上に捨てる
伊藤たかみ
文藝春秋
2009年8月4日
3件の記録
  • 妻の知恵子と離婚することになった敦は、先輩の水城さんと共に自販機の補充の仕事をしている。水城さんは既に離婚を経験していて、シングルマザー。家計を支えるため、わざわざ金払いの良い力仕事を担当しているが、今日で最終日らしい。 敦は水城さんへの語りを通して、知恵子との生活を顧みる…。 読んでみて思ったのは、幸せの定義は人によって違うということ。二人にとっての幸せではなく、理想一般の幸せを追い続けた敦と知恵子。しかし、それによって、彼らの生活は幸福というタチのわるい妄想に縛られてしまったのではないだろうか。それによって、結婚生活に行き詰まりを感じてしまったのではないだろうか。 精一杯生きているはずなのに、どうしてか失敗してしまう。そういう時が自分の人生にもある。でも、そういう時には、理想一般の幸福という妄想に縛られてはいないか、今一度己を顧みたい。
  • chimidori
    chimidori
    @chimidori
    2025年4月18日
    水城さんの乾いた人物描写は自分のそういう友だちを思い出させた
  • 松田茉莉
    松田茉莉
    @cotomato
    2025年1月14日
    第135回芥川賞受賞作。シンプルだけど無駄がなくて個人的にとても好きな作品。主人公は自動販売機のルートドライバーのアルバイトで、翌日に離婚を控えている。結婚生活がばらばらになっていくところ、自動販売機の補充という仕事からみる世の中の視点。他に2篇収録、どちらも日常生活のちょっとしたすれ違いであったり、不穏さだったり目の付け所がうまいなあと思う。
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