ニサッタ、ニサッタ

ニサッタ、ニサッタ
ニサッタ、ニサッタ
乃南アサ
講談社
2009年10月21日
2件の記録
  • うに
    うに
    @uni21
    2026年4月21日
    辻村深月の「傲慢と善良」を読んだあとだったので、それに少し近いような、人間のリアルな価値観や愚かさを書いたものが読みたいなと思って手にとった。 作者は意識していなかったのだが、乃南アサは直木賞も受賞している著名作家だ。 内容としては、目標がない、ゆえに根気や努力も足りていない主人公が、勤め先の会社の倒産をきっかけとして、ひたすらに転落していく話だ。 主人公は根本的に愚かな人間として書かれており、上手く行き始めても必ず落とし穴にハマってよくて降り出し、悪ければマイナスになる。 その愚かさも、愛嬌のあるものではなく、ひたすらに怠惰でときには倫理観に反したものだ。 ほぼ全編が上記のような調子で愚かさの繰り返しになっており、最後の最後、エピローグ前でようやく光明が見えて終わるといった具合だ。 (それでもこの主人公ならまた愚かさの韻を踏みそうではある) 一向に好転しない状況に、読んでいてストレスの貯まる部分も少なくはないが、それでも読ませてしまうところに筆力を感じる。 ただ、刊行が2009年と今から17年前であるからか、価値観や倫理観の面で「今だとこうは書けないだろうなあ」という描写も多い。 こういった「価値観の違和感」は、本作のような日常に根付いた何気ないセリフや行動が最も際立つなと感じた。 ここ5-10ねんくらいで、倫理的な側面に関する価値観の変化は凄まじく感じている。 このような社会派の小説を読むのであれば、リアルタイムで読むのが最も刺さる可能性が高いのかなど感じた次第である。
  • 夏しい子
    夏しい子
    @natusiiko
    2025年4月6日
    とわは、一生懸命まじめに生きていたのに不幸が続いて不憫でならなかったけれど、耕平は最初の頃はクズだったので自業自得だと思い、バカじゃないのと思いながら読んでいた。けれど、新聞店に勤め出した頃から少しずつ変わっていく。 知床に帰って良かったと思ったし どんどん人間として成長してきているなと思っていたのに あの事故でガッカリした。 けど、とわの言葉で違うんだと思い直した。 とわも杏菜も、もっと大きな心で耕平を受け入れていたんだなと。 人間は何度でもやり直せる。そう思わせてくれた話だった。
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