漫画でイけ
9件の記録
めい@meiji_chan2026年9月1日読み終わった『二月に殺して桜に埋める』の毒気がクセになっていて、まさかの小説も書かれるの!?と驚き発売日に即買い。おそらく女性で、九州地方出身で、高学歴で、毒親育ちで、性格がすこぶる悪い方なのだろうと踏んでいたが、おそらくきっと大当たりだろうな、と確信した。実在の著名な作品名が登場したりして、「芥川賞と直木賞くらいは押さえてますけど、別に読書家とかではないですよ」みたいな、「ガチの頭いい人」の気配を感じた。失礼かもしれないけど、片手間でもいろんなことが人並み以上にできるタイプの方なのでは…あるいは死に物狂いで努力していて努力の重さを感じさせないタイプか。いずれにせよ強制的な狂人で天才だ。 『漫画でイけ』(すごいタイトル)も『僕の血』も、まだ才能が(本人にすら)見つけてもらっていない、創作しなければ生きていけないクズの天才の話だと思う。大好きな『Artiste』という漫画で(漫画は「食」「仕事」を描いたものが特に好きだからこの漫画はかなり好き)小説家のキャラクターが「幸せに満ちた作家なんて書くことなんもないよ」「幸せな奴が書いた文章なんてきみ読みたいと思うのかい?」「スコーンにコンフィチュールを合わせて珈琲と頂くなんて作家がしていいことじゃないんだ」と出されたおやつを堪能しながら苦悩するシーンをよく思い出す。でも一方で、わたしの大好きな小説家の一人である朝井リョウさんと西加奈子さんは「(書きながら)この話どうでもいいって思う時ある」「嘘やし」と言っていたのも思い出す。 創作はすべからく嘘、嘘団子でありながら、その材料は創作者の傷口から滴る血で、永遠に治らない傷口から汚物を搾り出し、捏ねくり回して装飾し、読者の口に捩じ込むものだというのが「鳩太郎」先生。他人様の下着を無理やり引き摺り下ろし、或いは下着の中を覗き見て仔細に、面白おかしく、美しく書き立てて無許可で世間に晒すものだというのが「ツグミ」先生。どちらもきっと正しくて、世の多くの創作者がきっとやっていて、きっと天才と称される創作者ほどその有害性に目を瞑るのが上手い。でもこの本の主人公たちは二人とも、目を瞑れない。自分の、創作そのものの持つ有害性を直視してしまう。その苦しささえ快楽と血に変えてさらに作品をどす黒く輝かせていく。あまりにも詳細に性格が悪いから、きっと鳥トマトさんがこうやってバズったり、炎上したりする漫画を生み出せるようになったんじゃないかと邪推してしまう。 それならわたしが今こうしてツラツラと書き並べている感想のようなものも、もし目に入ったら「うるせぇバーカ」と思うんだろうな。 小説の中の劇中劇として漫画が出てきたり、読んだ人が何も言えなくなるような構造をしていたり、私小説感満載だったりと、カテゴリ分けするなら純文学だと思った。 鳥トマトさんの漫画でよく出てくるモノクロなのにサイケな雰囲気とか、突拍子もない擬人化とか、傷ついている場面でのやたらハイテンションな振る舞いとか、文字だけで表現すると「やっぱあの表現って狂気なんだな」と再発見した。漫画が挟まっていることにおもしろさやお得感だけじゃない意義があるのは、一人でどっちもかける人ならではのすごい強みかも。













