姜尚中と読む 夏目漱石

姜尚中と読む 夏目漱石
姜尚中と読む 夏目漱石
姜尚中
岩波書店
2016年1月20日
2件の記録
  • 1129_ymoi
    1129_ymoi
    @1129_ymoi
    2025年4月9日
  • 漱石が権威主義をひどく疎んでいたという事実が興味深い。 彼の生きた明治は、金持ちと政界とが結びつき、大学を出た一部のエリートが、国家官僚として権力を固めていったと。 漱石はそうした癒着的な権力を、「物事を真剣に考えている人たちの志をつぶしてしまうものとして嫌った」らしい。 漱石は博士号を取得したことはないが、1911年に文部省から文学博士号を授与するという知らせがあったそうだ。 漱石が当時入院中だったため、家に学位証書が送りつけられるが、彼は毅然とした態度で「今日までただの夏目なにがしとして世を渡って参りましたし、是から先も矢張りただの夏目なにがしで暮したい希望を持って居ります。」と断った。 そして、博士号をありがたがりすぎると、博士号を得た「学者的貴族」が権力を握ってしまうことを懸念していると綴っている。 権力者や権威的な存在にも鋭く批判をぶつける漱石の聡明さに敬服する一方で、昨今「政治とカネ」という言葉をよく聞くように、いまもなんら変わらない政界(というか自民党)にうんざりする。 信頼ではなくカネで人心掌握して、宗教組織とベッタリ癒着して選挙で大量に議員を当選させて。漱石の批判した明治政府の本質と何が違うのだろうか。ここまでくると怒りも通り越して虚しさを感じる(本の感想のはずが気づいたら自民批判に……)。 それはそうとして、漱石作品もいろいろ読んでみたくなった。
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