紙の月 (ハルキ文庫)

12件の記録
橘海月@amaretto3192019年1月1日読み終わった映画化で話のさわりは知っていたものの、こんな内容とは思っていなかった。日常を踏み外すのはほんの一瞬ではなく、日々気づかないほど無数の綱渡りの結果でしかないのかもしれない。自分は違う自分は大丈夫と思う人もまた、既に踏み外している可能性もあるなと感じた。 幸せな結婚生活を送っていたはずの梅澤梨花が、銀行に勤め一億もの大金を横領し失踪するまでの過程。それらの丁寧なエピソードの積み重ねがよかった。一見幸せな結婚生活に潜むあれ?という違和感。DVやモラハラほどわかりやすくなく、それでいて心に引っかかる棘となり確実に削られてゆく夫の態度。 必死にもどかしさを埋めようとする梨花や過去の友人や恋人、彼らから痛いほど感じたのは渇望だ。どうしようもない渇きを癒す刹那の魔法としての散財。それでは埋まらない渇きは消えないとどこかで知ってはいても止まらない。さながら奥田英朗『最悪』の登場人物達のように。








