コヨーテ読書: 翻訳・放浪・批評

コヨーテ読書: 翻訳・放浪・批評
コヨーテ読書: 翻訳・放浪・批評
管啓次郎
青土社
2003年3月1日
5件の記録
  • DN/HP
    DN/HP
    @DN_HP
    2025年6月28日
    読んで欲しい友人にプレゼントしたからもう一冊欲しい。
  • DN/HP
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    @DN_HP
    2025年6月26日
    「結論からいおう。翻訳文学に興味を失った文化とその言語は、はてしない同語反復におち いり、頽廃し、衰弱する。停帯し、腐敗する。唾棄すべき外国嫌いと偏狭きわまりない自国自文化崇拝がはびこり、閉ざされた黄昏のよどんだ空気の中で、陰湿な相互攻撃ばかりがつづく。あるいは、わずかにでも異質であると感じられる人々への、容赦ない冷酷な排除が牙をむく。これだけ明確に戦うべき相手がいくらでもいる以上、はっきりいわなくてはならない。ぼくらは翻訳文学を読むべきだ。つねに読むべきだ、いくらでも読むべきだ。」 アフター6ジャンクション2の放課後Podcastで日本翻訳大賞の話題から古川さんも同じようなことを言っていた(のでこの本のことを思い出した)けれど、この指摘は完全に重要。
  • DN/HP
    DN/HP
    @DN_HP
    2025年6月26日
    移転した古本屋の数年ぶりのオープン日に、勢い込んで御祝儀買いしてそのまま積んでしまっていた数冊の山から少しだけ適当に手に取ってしまった記憶もある、翻訳文学者のエッセイ集を引き抜く。エッセイというと軽い読み物というようなイメージがあって、ジャケットに書かれたコヨーテの少し惚けたような顔からもそんなイメージを抱きながら読み始める。 「結論からいおう。翻訳文学に興味を失った文化とその言語は、はてしない同語反復におちいり、頽廃し、衰弱する。停帯し、腐敗する。唾棄すべき外国嫌いと偏狭きわまりない自国自文化崇拝がはびこり、閉ざされた黄昏のよどんだ空気の中で、陰湿な相互攻撃ばかりがつづく。あるいは、わずかにでも異質であると感じられる人々への、容赦ない冷酷な排除が牙をむく。これだけ明確に戦うべき相手がいくらでもいる以上、はっきりいわなくてはならない。ぼくらは翻訳文学を読むべきだ。つねに読むべきだ、いくらでも読むべきだ。」 序盤の一編で言い切られるこのセンテンスを読んで、これは軽やかではあっても“軽い“ということはない、エッセイの「思索や意見、感想などを形式にとらわれず」に書くということに忠実な、真摯でとてもあつい文章たちなのだと思った。そして、トランプが再度大統領に就任したアメリカからのニュースが矢継ぎ早に伝えられる日に読めば、このラインをはじめこの本に収められたエッセイたちはとてもあつく重要で“重く”感じるのだった。 放浪、移動と土地の記憶、読書を含めた経験から書き出された、移民、亡命、越境、流浪。植民地主義。移動すること、させられること、言葉をはじめ文化を奪われること、新しい文化を手に入れざる得ないこと、新しい言葉で元々持っていた言葉で、あるいは両方を混ぜ合わせて書くこと。その両方に帰属意識を持たないこと。そのなかで書かれた文学。それらの批評と、翻訳することについて。 翻訳というと原文に忠実にという技術的な部分にフォーカスしてしまいがちだけれど、そこには確実に翻訳者の存在が、言葉がみえる。どうしても見えてしまう。それを自覚し「透明」になることを諦め、原文を一度「殺す」ことを覚悟し、原文に込められたたくさんのものを“ただしく”伝える新たな文章を、物語を生み出す。生み出そうと「格闘」する。それが翻訳するということなのだと思えてくる。これはこの本で作者が言っていることとは少し違うかもしれないのだけれど、わたしにはそう思えた。思えれば、先の引用も更に納得出来た気がする。 翻訳者は職人や技術者ではなく原文を書いた作家と同じように文学者、アーティストなのだ。アーティストは自分の言葉を持っている。「翻訳者は他人の物語を自分のことばで語るわけだ」というロジャー・ホッブズの『ゴーストマン 時限紙幣』という小説からのラインも思い出す。そう、このエッセイ集でも読めるようにやはり翻訳者は自分の言葉を持っている、持つべきなのだ、そこに覚悟も携えて。わたしはそんな翻訳者文学者が翻訳した、様々な言葉で書かれた文学が読みたい。 この本で言及されている作家の、今積んでいる本の、インターネット上のリストに入っている数冊の、そこにある、あるいはまだ未知の、翻訳文学が読みたい。読むべきだ。そうわたしの燻りがちだったかもしれない読書への情熱も「燃えあがる」のだった。管さんが翻訳を手掛けた、ルドルフォ・アナーヤの「トルトゥーガ」をオーダーしよう。急げ。 同じく翻訳文学者の藤井光さんの「ターミナルから荒れ地へ - アメリカなき時代のアメリカ文学」とも繋がっていくな、とも思ったことも付け加えておきたい。
    コヨーテ読書: 翻訳・放浪・批評
  • Blue moon
    Blue moon
    @mimosamimi
    2025年6月26日
  • Leseratte
    Leseratte
    @Leseratte
    2025年4月25日
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