サクリファイス

5件の記録
- こかげ@mttg2025年4月25日読み終わった(ネタバレあり) 石尾さんの得体の知れなさが怖く、チカが結果を出せば怖くなり、チカが石尾さんのためにレースの勝利を手放せばほっとしてしまった。途中までの石尾さん本当に怖い。 最初に描かれた惨劇の場面はミスリードだろうというのは途中で勘が働いたけれど、石尾さんが亡くなるとは思ってなくてちょっとびっくり。あまりに唐突なので、作中でチカが石尾さんの死に実感が持てないのとシンクロした。 前半は不穏さはありつつもスポーツ小説の雰囲気だったけど、石尾さんのレース中の事故死を境に一気にミステリになった。謎解きが2回あるのも嬉しいポイント。 真相を知って思ったのは、この後袴田と香乃はどうなるんだろうか、ということだった。主人公のチカは石尾さんの思いを受け取って前に進んでいくけど、袴田は復讐も完全に達成できたわけでもなく、恋人を復讐の道具に使ったし、今後幸せになれそうに思えない。袴田が何をもってして幸せと感じるかは分からないけど。 あと、その復讐を不発に終わらせたチカにはちょっとスカッとした。 石尾さんは良くも悪くもロードレースに対して誠実で、愛を持っていたんだなと思った。死の直前に笑っていたのには、何となく救われた気がした。 この作品も、ロードレースへの愛で描かれたものなのかも知れない。競技の特殊な点を落とし込んだ物語からはロードレースの魅力が感じられた。
- こかげ@mttg2025年4月21日読み始めたロードレースの基本知識を自然に挟みながら、主人公たちの人となりが描写されていくのだけれど、飾りすぎない文章でさらさらと読んだ。 メインの人物は3人。自転車チームのエースである石尾、期待の若手だが自分本位なところがある伊庭、そして主人公のチカ。主人公は勝利に重きを置かないため、エースを支える役どころのアシストという現在の役割にやりがいを感じている。 主人公のキャラクターが面白いと感じた。勝てなくてもいいという姿勢、自分の実力を客観的に考える冷静な姿勢があるが、必ずしもチームに自らを捧げる献身的な性格なのではない。単に好みの問題かと思いきや、過去の出来事にも起因しているようで、一言で言い切れない感じに引き込まれる。 あと、主人公は何かを決断するときに唇を舐める癖があるのかな? まだ何か事件が起こったわけではないが、エースの石尾さんに過去に選手を「潰した」噂があったり、そもそも最初に「ぼく」の流血沙汰が示唆されていたりと不穏な空気で、先の展開が気になる。
- こかげ@mttg2025年4月19日借りてきた自転車競技を題材にしたミステリ。大矢博子さんの『読み出したら止まらない! 女子ミステリーマストリード100』で紹介されていて面白そうだったので読んでみる。自転車競技のことはよく知らないけど楽しめるといいな