この世は二人組ではできあがらない

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- r@teihakutou2025年5月3日読み終わった山崎ナオコーラをはじめて読んだのだけど、もっと早く読むべきだった。いいフレーズ、共感するポイントがたくさんあった。いいところは解説の西加奈子が存分に書いてくれているが、わたしも「作家の真骨頂といっていい「詩性」、はっとさせられる言葉」を一部メモしとく。図書館で借りた本でなければ、わたしもドッグイヤーだらけにしてたと思う。 「世界の深淵を眺めていたい、遠くの風に耳を澄ませたい、薄氷を踏むように喋りたい。」 「私は手を、いつでも振りたかった、誰にでも。」 「人はひとりで完全だ。だからベターハーフなんて探していない。価値はひとりの人間に十分ある。「自分の存在のために誰かが必要」という考えでは生き続けられないだろう。[…]人と人とは、関係がない。誰も、誰かから必要とされていない。必要性がないのに、その人がそこにいるだけで嬉しくなってしまうのが、愛なのではないか。」 国名にカギカッコがついていること、恋愛用語や「入籍」という言葉に対して立ち止まって注釈をつけるような文章、地の文でもずっとさん付けだったのが急に呼び捨てに切り替わるところ、分籍について、などなど、印象的だった。固有名詞もたくさん出てきて、栞が観たという映画をいちいちFilmarksで調べてブクマしたし、金子光晴が好きというのもよかった。