音楽嗜好症

7件の記録
- えみ@caleidoscopi0x2025年9月19日読み終わった認知症の一部の方にとって、音楽は嗜好品でなく必需品たりうるといった最後の章が興味深かった。昔の感覚のままだった私は、読む前は音楽療法にそこまで可能性を見出せずにいたが、本書のさまざまな症例を知ったことでその認識を改めるに至った。音楽学では、ロマン主義的な音楽鑑賞の仕方を批判することもままあり、情動と切り離して音楽の性質を考えることもあるため、歌を口ずさんだり、演奏をしたりすることを通して生きる喜びを表現する人間の素朴さを忘れてしまうこともあるが、この本を読むと、人々の素朴な音楽の楽しみ方や、音楽と情動との強い結びつきを思い出させてくれる。