35歳の哲学者、遺伝性がんを生きる それでも子どもを望むということ

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- barna-etsu@barba-etsu2025年6月30日妊娠を考えている女性が遺伝性のガンとなることで直面した、日本におけるリプロダクティブヘルスに関する意識、認知度の低さを論点にあげている。 特に遺伝性のガンを持つ方が子供を欲しいと考える際に子供にガンを遺伝させずに妊娠するための着床前診断に関して、日本はかなりの制限があることについて言及。なぜそのような制限があるかの倫理的背景を踏まえつつ、そのような倫理的背景が果たして当事者に寄り添ったあるべき倫理の在り方なのかについて哲学的思考をもとに整理して説明がなされており、納得感はあった。一方で、着床前診断については多面的に議論が必要そうで、とてもじゃないがここで私がコメントでこることではない 作者が着床前診断のオプションにありつけたのは色々な要素があるものの、一番大きいのは研究者として英文の論文にアクセスがあり、日本だけでなく世界における当該論点の議論のあり方について知るスキルがあったことに思う。そこからご自身で経験をエッセイとしてまとめ上げ、同じような苦しみを持つ方へのサポートを行なっていることは、作者の大きな使命感を感じる。作者は、自身の人生の年数が限られているかもしれず、自分の人生をどう使うか、そしてガンの経験を通して変更したキャリアパスにも言及していた。自分の人生をどう使うのか、また倫理の素養を通して権力者や社会は不便を強いられている人に対してどう向き合うべきなのか、随所に学ぶべきコメントがあり、有意義な本でした