The Notebook
4件の記録
- gato@wonderword2025年6月27日読み終わったなんとか今月中に読み終わった……。 ノート/手帳/日記などが西洋史のクリエイティヴにもたらした影響を探るというテーマは面白いのだが、現存の人たちに取材した後半はなんとなくプロモーションっぽい。 内容的にどうしても先月読み終えたAdam Smythの『The Book-Makers』と比較せずにいられない。『The Book-Makers』のほうはイングランドの印刷史を取り扱うと断った上で、西洋中心主義や男性中心主義、移民技術者とアマチュアの軽視など従来の史観に対する批判的な視点からのツッコミが入って気持ちよかった。 この『The Notebook』には、そうした問いかけはほとんどなかった。フェミニズム文学史における日記やノートの重要性にはたった一段落触れただけ。これは正直がっかり。 『The Book-Makers』の著者は大学の研究者で、『The Notebook』のほうは元書籍メーカーの営業担当だというライターなので、先行研究に対する造詣の差がモロにでた感じ。ビジネスマンならではの商業的な視点が散りばめられているのは、普段そういう本を読まないので新鮮で面白いところもあった。
- gato@wonderword2025年6月16日まだ読んでるエラスムスがcommon-place book(備忘録)を推奨したのをきっかけに、仕事や家庭とは直接関係ない個人的なノート付けの習慣がヨーロッパ中にブワッと広がる。劇場に持っていって台詞をメモったりしていたらしく、観劇中にノート取る人こんな昔からいるんだと思った。確かに記録媒体が他にないんだから書き残したい欲は今よりずっと切実だよな。 そして1700年代にオランダほかヨーロッパ北部で流行ったというalbum amicorum(album of friends)がプロフ帳すぎる!友だちとか先生とかとにかく知人に一筆書いてもらったのを一つのバインダーに集めたもので、お花の枠飾りがついたそれ用のルーズリーフが売られてたり、一筆頼まれた側も他のページより素敵にしようと張り切って絵を描いたり詩を書いたりしたらしい。プロフ帳じゃん!
- gato@wonderword2025年6月13日読んでる製紙技術のところでアジアとイスラム圏に触れつつも、基本的に西洋史中心で話が進んでいく。ということは13世紀の終わりの終わりまで記録メディアの選択肢は羊皮紙しかなかったということで、ということは高価な羊皮紙を使える社会身分は限られていて、それも極めて個人的なことを書くことは滅多になかったということで、ということはこの人たちにとって日記は結構新しい文学なんだな、ということに改めて気づいた。この本でも日記文化のはじまりは1600年代とみなされている(まだそこまで読んでないけど)。
- gato@wonderword2025年6月10日読み始めた「ノート/メモ/ジャーナルをつける」という習慣の歴史を追った本。序文は当然の如くモレスキンの話から始まるのだが、チャトウィンの『ソングライン』がきっかけで流行したことは知ってたけど、その頃すでにオリジナルのモレスキン(つまりチャトウィンやピカソらが使っていたノート)は生産終了していて、今のモレスキンはチャトウィンの記述を元に90年代にデザインされたもので元のモレスキンとは何も関係ない(元のモレスキンはフランスの会社で今のモレスキンはイタリア)ということを初めて知った。胡散臭いと思ってたんだよな(笑)。しかしこうしたマーケティングの妙を知ると逆に興味が湧いてくる。まぁ重いから野帳でいいなって思っちゃうんだけど。