夜の言葉: ファンタジー・SF論 (岩波現代文庫 文芸 102)

夜の言葉: ファンタジー・SF論 (岩波現代文庫 文芸 102)
夜の言葉: ファンタジー・SF論 (岩波現代文庫 文芸 102)
アーシュラ・K.ル=グウィン
岩波書店
2006年5月16日
7件の記録
  • 青布団
    青布団
    @ofton_ofton
    2026年4月24日
  • ⭐️⭐️⭐️⭐️ 【大人にこそ「ファンタジー」が必要な理由:アーシュラ・K・ル=グウィン『夜の言葉』が教える想像力の鍛錬】 「ファンタジーなんて、現実逃避の子どもだましだ」 「もっと実生活やビジネスで『役に立つ』本を読むべきだ」 もしあなたが、日々の生活の中でそんな声に晒され、あるいは自分自身でそう思い込み、想像の翼を畳みかけているのなら、ぜひ本書を手にとってほしい。SF・ファンタジー界の巨匠アーシュラ・K・ル=グウィンによるエッセイ集『夜の言葉』は、現代社会が軽視しがちな「想像力(イマジネーション)」の復権を高らかに宣言する、大人のための力強いマニフェストだ。 本書の白眉とも言えるエッセイ「アメリカ人はなぜ竜を恐れるのか」の中で、ル=グウィンは極めて本質的な問いを投げかける。なぜ大人は竜(ファンタジー)を恐れ、嫌悪するのか。それは、利益や効率ばかりを追い求める実利主義的な社会が、「想像力」そのものを無益なものとして恐れ、敵視しているからだ、と。 しかし彼女は、辞書の定義を引きながら鮮やかに反論する。想像力とは決して無益な空想ではなく、「知的感覚的な精神の自由なあそび(フリー・プレイ)」であり、既知のものを組み合わせて新たなものを生み出す「再創造(リクリエーション)」である。 目先の利益や実用に執着しない、この「精神の自由なあそび」の究極の産物とは何か。ル=グウィンはそれを、トルストイの『戦争と平和』(芸術の最高峰)であり、アインシュタインの『相対性原理』(科学の最高峰)であると断言するのだ。子どもの「ごっこ遊び」が大人になるための練習であるなら、大人の「想像力」は、人類が偉大な文化や科学を生み出すための不可欠なプロセスである。ファンタジーやSFは、その「自由なあそび」を極限まで追求する至高の思考実験の場に他ならない。 さらに本書は、想像力を抑圧した大人の末路にも鋭く切り込んでいる。想像力を鍛えることを怠った大人は、自分自身の内なる暗闇(影)と向き合うすべを持たない。結果として、安直で刺激的なだけの娯楽に逃避したり、現実社会のデマゴーグ(扇動政治家)の嘘に容易に騙されたりしてしまう。 つまり想像力とは、決して現実から逃げるための道具ではない。むしろ、複雑で困難なこの現実世界を正気を保って生き抜き、真実を見極めるための強力な「生存ツール」なのだ。 タイトルにある「夜の言葉」とは、論理や実利といった「昼の言葉」ではすくい取れない、夢や無意識、神話の言語を指す。効率やタイパ(タイムパフォーマンス)ばかりが支配的な現代の資本主義社会、そして絶え間ない情報の波(アテンション・エコノミー)の中で、私たちは知らず知らずのうちに心をすり減らしている。そんな息苦しい世界から距離を置き、自分自身の本当の心を守るための知的な「アジール(避難所)」となるのが、良質なファンタジーなのだ。 ル=グウィンは、想像力は野放しの妄想ではなく、科学や芸術と同様に「鍛錬」が必要な技法であると語る。「夜の言葉」に耳を傾け、他者の描いた異世界を旅することは、凝り固まった私たちの精神をほぐし、自由を取り戻すための最も有効な鍛錬となるだろう。 大人として成熟し、この世界を自分らしく生き抜くための「武器」を探しているすべての人に、本書を強く推薦したい。読了後、あなたはきっと、自分の中にある「竜」を愛し、誇りに思えるようになっているはずだ。
  • 鷹緒
    鷹緒
    @takao_tanka
    2025年12月28日
    ばけばけを観ていたら再読したくなりました。 「人間は昼の光のなかで生きていると思いがちなものですが、世界の半分は常に闇のなかにあり、そしてファンタジーは詩と同様、夜の言葉を語るものなのです」 怪談もまた夜の言葉だと思うのです。
  • キム・チョヨプ
  • 匙
    @sajisann
    2025年10月6日
  • 青布団
    青布団
    @ofton_ofton
    2025年10月6日
  • 風来書房
    風来書房
    @furai_books
    2025年6月23日
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