オキシペタルムの庭

オキシペタルムの庭
オキシペタルムの庭
瀧羽麻子
朝日新聞出版
2012年10月5日
2件の記録
  • 「信じる」ことについて考えさせられる話だった。 何を信じたっていい、怖いのはそれで思考停止しちゃうこと。 「幸せにならなきゃ」という呪い。 開放的そうで実は囲われている「庭」。 オキシペタルムはとても可愛いらしい花だけれど、そこはかとない不穏さが漂うこのタイトルがとても秀逸。 教祖(?)のおばあさんの一見正論っぽい聞こえのいい回答をそのまま鵜呑みにする人々に感じる気持ち悪さは、昨今のAIに判断やファクトチェックを仰いでる人々へのそれによく似てる。やっぱり人間は考える葦なんだ、と思う。 瀧羽さんの描く恋愛って、ふわふわしたときめきとものすごく現実的な質感の両方がある。大人の恋愛って、好き同士だとしても=一緒になるとは限らない。ちょっと話は逸れるけど、子供の頃に花*花の「さよなら大好きな人」を聞いて、なんで大好きなのにさよならしなくちゃいけないんだ、と大泣きした記憶がある。やっぱりそういうもんなのかなー。読みながら心の中で大泣きした頃の私がまた悲しがっていた。 でも、愛する人と同じものを同じように信じることができなかったとしても、私はこの物語の終わり方はハッピーエンドだと思った。
  • 森本羊
    森本羊
    @morimoto_sheep
    2025年6月26日
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