文庫 豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件

文庫 豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件
文庫 豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件
倉知淳
実業之日本社
2021年2月5日
2件の記録
  • 堺屋皆人
    堺屋皆人
    @minahiton
    2025年7月17日
    ちょっと変わったミステリを色々読みたい人向けのバラエティ豊かな短編集 まずタイトル一本釣りでズルいw こんなタイトル思いつかないでしょ。 色んな味わいの短編集で、全体的に「何故?」の引きが強くサクサク読める。 そんなんアリか、なんじゃそら、ってツッコミながら読むのも含めて楽しい一冊。 少し大人になった猫丸先輩の短編も入っていて、久しぶりにあの飄々とした感じを読めて懐かしかった。 各話の感想は以下。(微ネタバレ) ①変奏曲・ABCの殺人 序盤にオチは読めるものの、ブラックユーモアミステリの短編として秀逸。こういうの好き。 ②社内偏愛 SFショートショートの味わい。マザコンが良いキャラしている。世にも奇妙な物語で映像化されそうな話。 ③薬味と甘味の殺人現場 いやコレどういう状況で死んでんだ?ってなる現場から、明らかにソレをした犯人がいる訳で、なんでこんな事を……を考える過程が楽しかった。 理由に納得いくかは賛否分かれそう。 ④夜を見る猫 急に舞台と描写でほっこりさせてくる。倉知作品にこういうイメージ無かったので意外。 事件自体はほっこり出来ない、妙に生々しいオチだったけど、おばあちゃんのキャラと猫ちゃんがそれを癒してくれるから読後感は良い。 ⑤豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件 前話でほっこりしたと思ったら急に舞台が戦時中になってビックリ。 タイトルにあるように、遺体の近くにぶちまけられた豆腐が謎になるんだけど、作中の推理が豆腐凍らせて殴ったとかじゃないのが楽しく、なにソレwってなった。 オチは、コレも好み分かれそうだけど、ストレートに一件落着なのよりいいかな。 ⑥猫丸先輩の出張 久々の猫丸先輩シリーズ。この話だけボリュームが違うし、ちゃんと本格ミステリなので、ラストを飾るに相応しい感がある。 被害者がバケツを落とされて殺されかけたというユニークな謎、細かい伏線とミスリード、アリバイ検証、トリック解明の後にもう一段オチがあるのも嬉しい。 飄々と事件の真相を見抜き、産業スパイにされかけた後輩の濡れ技を晴らす、名探偵としての手腕もさることながら、ユーモアと毒舌も健在で、会話文や地の文のツッコミが読んでいて楽しかった。 万人に薦められるかというと、少々癖は強いけれど、総合的にあまり堅苦しくなく気軽に読めるミステリなので、普通のミステリに飽きたらどうぞ、と言いたい。 今回、Audibleで再読したのだけど、ナレーターさんが、大河元気さんでビックリした。 2.5次元ミュージカルで知った俳優さんだったけど、こういうお仕事もされていたのか……と。 そして、めちゃくちゃ上手かった。 特に、④の田舎のおばあちゃん役と⑤のマッドサイエンティストな博士役。最高でした。ぜひ聴いて欲しい。
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