金田一耕助ファイル4 悪魔が来りて笛を吹く (角川文庫)

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いちのべ@ichinobe32026年4月13日読み終わった> ほんとうをいうと、私はこの物語を書きたくないのだ。この恐ろしい事件を文字にして発表するのは、気がすすまないのだ。なぜならば、これはあまりにも陰惨な事件であり、あまりにも呪いと憎しみにみちみちていて、読むひとの心を明るくするところが、微塵もないからである。(p6) > 由来、犯罪と推理の物語に後味のよいのは少ないのが当然かも知れないけれど、この事件はあまりにも後味の悪さにおいて、極端であろうことを私はおそれるのである。(p6) 冒頭、この事件がどんなに呪わしいものかを重ね重ね書いていて、実際ホワイダニットの悍ましさと哀しさは大きかった。確かに、人によっては多大な嫌悪を抱くものだろう。 が、生き残った人々の先行きには希望が持てる終幕であり、自分にとっては、どこか爽やかな読後感だった。 それは本作におけるゲストヒロイン美彌子の気丈さに拠るところも大きいなと思う。 彼女は横溝正史作品にお馴染みの美女ではなく、「容貌はお世辞にも美人とはいいにくい。」、「まえにもいったように美禰子は美しくない。」などと描写され、美彌子自身にもその自覚があり、自虐めいた発言もしている。しかし父を亡くし、頼りない母に代わって家の問題に対処しようとする健気さに、好感を持たずにいられない。 > 「この家は出来るだけはやく処分しましょう。そして、あたしたち、どんなにせまい家でもよいから、明るい、よく陽の当たる場所に住んで、身にしみこんだこの暗いかげを洗いおとしましょうねえ」(p455) すべてが明らかになった後の美彌子のこの言葉に、彼女たちはこの先も強く生きていくだろうと思えるだろうと、少し明るい気持ちになれた。





