騙し絵の牙
8件の記録
橘海月@amaretto3192022年10月30日読み終わった#ミステリ表紙も章の扉も大泉洋で、さすがに速水のビジュアルは大泉洋でしか浮かばず。それでいて軽快で闊達な編集長速水が、雑誌の廃刊と離婚の危機に公私苦しむ姿に様々な中年管理職主人公が凝縮されており、誰もが身につまされる内容だった。彼を一言で表すなら「粋」だな。 ずっと廃刊の危機に抗い、雑誌を存続させようとした速水が、遂に「終わった」と感じてから彼の騙し絵の面が牙を剥くのだが、それも含めて速水は魅力的だった。彼は演じている自分を意識し苦境をやり過ごしていたのではないか。自身を役者になぞらえ編集者を役とし、現実から薄衣を纏うことで心を保っていたのではと。 それにしても『22年目の告白』にも感じたが(奇しくもどちらも主演俳優が表紙で主人公が編集者だ)本当に出版業界は大変で、本が売れない本を出すのが困難な時代なのだと痛感する。今はまだ電子書籍という言い方で一線を引いているが、将来本と言えばそちらが主で、紙の本がレトロニムになったら嫌だな。




