真田太平記 9

3件の記録
- つつじ@m_tsutsuji08152025年8月31日読んでる"片桐且元の胸の底には、 (こたびも、これまでと同様、無事にすぎてしまうのではあるまいか。右府様が御上洛をなさらずとも、まさかに関東が、こなたへ戦を仕かけてくることはあるまい。また、仕かけてくる理由は何一つない) そのおもいが、たゆたっている。 十余年前の関ケ原前後に徳川家康がしめした凄まじい駆け引きを、且元も知らぬはずはなかったろう。 それを、忘れてしまったのか……。 つまりは且元、苦労が身につかぬ人物だったのであろうか。 これは、且元のみではない。 (こたびも、いつしか無事にすぎてゆく……) ことを期待しながら、その期待を実現するための行動にはおもいおよばぬ" 負ける組織の負ける要素を表現した文章としてこれ以上のものを知らない