トラウマにふれる

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- 御飯@gohan2025年3月28日読み終わった私はPTSDのサバイバーですが、まず本書を通読した印象を端的に「納得」と表現したくなります。 それは精神医学の専門的な用語や悲惨な個別のケースに対して、引用されている文学作品による説得力はもちろん、言語化の難しさを詩情に込めた筆者の意識を感じたからでしょう。 そういった繋がりを感じ「次回の受診ではこの本を切り口に話をしたい」と思いました。 解離反応、アディクション、サバイバー・ギルト、生存者使命、性同一性障害から性別違和(性別不合) ... 傷を舐め合う、プルースト効果、ジェンダー規範、躁鬱と創造、エイミー・ベンダー、震災やテロなどのトピックが並べられています。 ヴァン・デア・コークから中井久夫を経由して森岡正博まで。学問に対する批評も誠実に感じました。医者からの二次被害を受けた者として、その態度には敏感にならざるを得ません そもそも題にある「身体論的転回」とは何なのか、それと院生オリエンテーションでのメッセージの白々しさ、これらは些末かもしれませんが個人的には気になりました。 しかし、トラウマについて実際に起こっていることを知り、考える機会を誠実に与えてくれるという意味で、本書を読めて良かった。近年の、傷やケアにまつわるエッセイなどにモヤっている方におすすめ。