生きづらさに向き合うこども

1件の記録
- ノエラプトル@Di_Noel022025年10月8日読み終わった読み終わって、副題の言葉が腑に落ちたというか、じんわり温かく感じられた。 平井さんがこの本で記している、生きづらさを抱える生徒やその親たちの大半は、「家族」や「血のつながり」といった、時に支配ー被支配の関係が生じる「絆」で、がんじがらめになって苦しんできた。 大黒柱である父(夫)の言うことは絶対であり、妻や子たちは従属させられる。男の意に沿わないことをすれば虐待を受け、家を出ざるをえなかったり、あるいは出たくてもお金がなくて耐えるしかなかったりする。 離婚できても、こどもの養育費や進学費の負担に苦しむ。離婚相手が養育費を払ってくれないこともままあるそうだ。 こどもたちの狭い世界では、家庭と学校の往復が中心になってくる。 平井さんは学校で、直接的にも間接的にも、こうしたしんどい思いをしているこどもたちの存在を、何度も見聞きしてきたのだと思う。 学校も、ともすると教師と生徒の間で支配関係ができて、そこから体罰や性暴力の問題が起こったりもしてしまう。 けれど平井さんは、その子ひとりひとりに、対等な人間として真正面から話を聴き、彼らがどうすれば窮地から抜け出せるのか、一緒に考えながら伴走する人なんだなと。 「絆」というガチガチに固い結束よりも、ゆるやかに、困っているときにそっと手を差し伸べられる関係。 そんなつながりが少しずつ増えていけば、こどもにとって息のしやすい空間もちょっとずつ増えていくのかなと思った。