やがて訪れる春のために

やがて訪れる春のために
やがて訪れる春のために
はらだみずき
新潮社
2020年9月16日
1件の記録
  • まいける
    まいける
    @bluesky42195
    2025年10月13日
    認知症気味の祖母ハルのために、自分がかつて住んでいた家の庭を綺麗にしていく。荒れ放題の庭を。頼まれたわけじゃない。それは、祖母のためだけど、自分自身のためでもあったのかもしれない。 いつか祖母が戻って来られるように、小さい頃、祖母にいただいた有形無形の贈り物を自分でアレンジしていく。花屋さんをもう一度、復活させたい幼なじみたちの存在も大きい。 何より、庭に力強く生きている植物の力が彼女を変えていく。 自然の営みは人智を超えている。 「それらの花は、だれかのために咲いているわけではない。・・・けれどあたかも、自分のために健気に咲いてくれているように見える。人は花に惹かれ、癒され、ときに顔を上げる力を与えてもらう。だからこそ人は、花を愛でるのではないだろうか。」 孫と世話したミニトマトもコスモスも癒やしと力をくれている。 いい小説に出会った。まさに私花集(アンソロジー)のような。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved