きことわ

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blue-red@blue-red2025年10月19日読み終わった小説単行本芥川賞登場人物・ストーリー・舞台設定・セリフ・心情描写に、何の奇抜さもケレン味も驚きも衝撃もスキャンダラスさも無い。分かりやすい悲劇も喜劇も無い。幼少期に交友のあった女性二人が25年後に縁あって再会し、二日間ほどある家屋の片付けを行って終わり。 しかし、そういった奇抜さがあろうがなかろうが25年の間に生活は積み重ねられ人生は進んでいく。出産・育児があったり、家族の早世があったり。そこへ感情と記憶が付着し、心の中に晴れない何かが溜まっていく。小説は、そういった機微を丁寧に記述する。 これだけ地味な小説なのに、最後まで自分が楽しんで読めたことにおどろく。若い頃だったら絶対無理だったであろうと考えると、年を取ることもまあ悪くはないかなと思えてくる。小説の締めくくりもこれまた地味なわけだが、何だか整理がついたような、とても前向きなラストに思えてくるから不思議だ。