辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦

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- ユメ@yumeticmode2025年3月10日読み終わった感想@ 自宅『世界の辺境とハードボイルド室町時代』に続く、ノンフィクション作家の高野秀行さんと歴史家の清水克行さんによる対談集第二弾。『ゾミア 脱国家の世界史』『世界史のなかの戦国日本』『大旅行記』『将門記』『ギケイキ』『ピダハン 「言語本能」を超える文化と世界観』『列島創世記』『日本語スタンダードの歴史——ミヤコ言葉から言文一致まで』『姦通裁判——18世紀トランシルヴァニアの村の世界』の9冊を課題図書とし、高野さんが辺境を取材した経験から、清水さんが学術的観点から、それぞれ読みを深め、語り合う。 私が読んだことがあるのは『ギケイキ』だけだったが、大いに楽しめた。「はじめに」にもある通り、良著に触れた際の「その道の見識ある人の意見を聞きたい」という欲求と、「気の置けない友だちとその本について好き放題にしゃべりたい」という欲求を同時に叶えた、ある種理想の読書会で、読んでいて羨ましくなるぐらいだ。 中世のソマリ人は倭寇と出会っていたかもしれないだとか、(日本の標準語の成り立ちから考えると)室町時代の人にとっては鎌倉時代人より現代人の方が話しやすいはずだとか、今回も興味深い言説が次々に出てきて、知的好奇心を刺激された。