【増補新装版】障害者殺しの思想

2件の記録
花木コヘレト@qohelet2025年11月11日読み終わった図書館本障害者誤解を恐れずに言いますと、読んでいる間、ずっと著者の横田弘さんのことが「悪魔」的に見えていました。とにかく本書は、障害者の目線に立たない論理を、「私たちをあってはならない存在として」いる論理だと、強硬に突っぱねているように見受けられました。著者によれば、大切なことは「愛と正義を否定する」ことであるので、きっと読みながら私が感じた「悪魔」的な雰囲気というのは、この否定の精神に根拠があるものだと思います。 しかしながら、私は本書から、決定的なことを学びました。改心したと言っても過言ではない影響を受けました。それは、私たち人類が一人ひとりが平等であるという考えが、むしろ私を含めた社会的弱者を苦しめているという、決定的自覚です。社会的な疎外というものは、差別の上に生じるものではなく、むしろ平等の上にこそ生じるという意識です。そして、この苦痛こそが、私たち社会的弱者の生きている証であるという事実です。 私たちは、人間平等という真実を知ることによって、安楽になるのではなく、むしろ闘争へと引き摺り込まれるのです。 生命、これを現時点では人類の生命に限定しますが、生命は、すべからく平等であるということは、生命はそれぞれ一つ一つが生かしめられなければならないということです。つまり、生命は、個々に独立しているのであって、尊重されるのであって、その意味で個は全体にすら対等であるのであって、即ち近代以降の社会的弱者の視点からすると、全体という概念は否定されます。この、一つ一つの目からしか、世界を見ないこと、この立場に立ち続けることができたのは、CP者が、それだけ社会的弱者であることを示します。その意味において、私は本書を、著者の闊達な精神力に関わらず、悲しみの書として読みました。 どこまでも、いつまでも虐げられるものとしてのCP者。そしてそれは私たち自身の鏡であります。本書を読むことで、私の心の鏡に映った、私の中に住むCP者を見せてくれたという意味において、私もまた最も小さきものとして、社会に踏み潰されないために、一つの連帯の輪に加わりたいという、気持ちを持つものに生まれ変わりました。