歴史哲学講義 下

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- Jun Nagata@nagata_jun2025年8月31日読書メモヘーゲルによれば、歴史は「自由」の理念の発展として理解される。ギリシャでは、民族の混交の中から個人と自由の精神が芽生え、民主政治が政治生活の基礎となった。ローマでは貴族と民衆の二元対立が本質で、党派抗争を通じて大政治家が登場し、世界制覇に至る。内部の不安定は外征の原動力となり、国家の大変革は二度繰り返されて社会に正当化される。歴史の究極目的は、宗教原理を理性として顕現させ、人間の自由として実現することにある。個人は特定の対象に徹底的にこだわり、民衆の熱狂はしばしば狂気に至る。さらに、壮大な芸術や建造物も権威の象徴であると同時に崩壊の徴となり、パルテノンや聖ピエトロ寺院、システィナ礼拝堂の例がその典型である。