絵巻物に見る日本庶民生活誌

3件の記録
勝村巌@katsumura2026年3月30日読み終わった木村哲也『宮本常一 民俗学を超えて』を読んで以来、宮本常一にハマっている。 これは宮本常一が日本の古い(中世や近世)絵巻物から庶民の生活が描かれている部分を見つけて、図録的に当時の生活を読み解いていくという内容。 大変素晴らしい内容で、もとは中央公論社刊の「日本絵巻大成」の月報に連載されたものらしい。 宮本常一の師匠に当たる渋沢敬三が昭和15年くらいから始めた研究を引き継いだ形になっている。 宮本常一の広い歴史観と絵巻の描写が相まって、昔の庶民の生活や日本の生活の歴史が分かりやすく解説されている。 例えば建築でいうと寝殿造と書院作りの違いなどが絵巻に描かれた図版と共に説明されるので大変に分かりやすい。 間切の少ない寝殿造は南方の文化で、海を渡ってきた倭人の様式だが日本では冬などは大変に寒かったであろう、そこから寒さを克服するために工夫がはじまったのでは、みたいな話とか、大変興味深い。 そのほかにも蒙古襲来絵巻に見るあぶみ(馬を操るために足をかける馬具。鞍の両側からぶら下がっている)が日本製は靴状だが、蒙古製は丸いとか。これは最近見た下村観山の絵でもそう描いてあったから、そこが見どころだったのだと思う。 ほかにも百鬼夜行絵巻に見る、庶民の道具についての考察。軟質文化と硬質文化の違いなどは工芸的な視点から読解すると面白い。 絵巻大成からの引用と思うが、図版も多く、絵解きの視点を知るという意味でも大変に興味深い。こういう探究の仕方もあるのだな〜、と膝を打つ一冊でした。



