
にけ
@nilce
2026年3月3日
決壊(下)
平野啓一郎
読み終わった
@ カフェ
読了直後のメモ
崇は打ち解けているようでいていつもどこでも心からの人間的な信頼を勝ちえない(そしてそれはほとんど本人の責任ではないと私は感じる)ところがあったようだけど、事件を経て圧倒的に孤独な場所に追いやられてしまった。
弟良介が家族への愛を叫んで死に、それを見た崇も同時にもう可塑性を全く失った半分彼方の存在になってしまったかのようだ。
海で見た母の幻想のシーンはとても痛ましい。
関係のない電話で再び事件に絡められ、その間に母は父のように損なわれようとし、弟の位牌は流される。母に疑われ、責められ、いくら思い遣っても思い遣ってはもらえず、決して理解されないことを痛感する絶望感。
被害者遺族として新たな活動を始め、繋がり、生なる存在(良太)を胸に進んでいける佳枝との対比が凄まじく、崇の言葉の端に滲む、それでも感情の矛先を持つことのできない絶望感に圧倒される。
この後どうやって生きていけるというのか?!
無言の叫びを身体にみんな閉じ込めて崇は……。
とても悔しい。
